2019年1月6日日曜日

10x Genomicsの受託解析会社のまとめ(国内)

明けましておめでとうございます。
私は昨年の7月に今の会社に転職して、色々と慌ただしく過ぎていった半年間でしたが、今年はもっと(良い意味で)慌ただしくなるような予感がします。

昨年展示会ブースでお話しした中で、一番多かった質問は「どこかで受託解析しているところありますか?」というものでした。ですので本年最初の記事は受託会社のまとめ、にします。

これから紹介する会社さんは、10x Genomics社がオフィシャルにオススメしている会社、という訳ではありません。各社のウェブサイトや学会展示会にて、シングルセル解析またはLinked-Read解析をサービスとして紹介していた会社に私がコンタクトをとり、実際に話して得た(または前から知っていた)情報です。
と言っても、細かいサービス内容や価格は各社公にして欲しく無いと思いますので詳細はここでは書きません。価格やメニューなどはそれぞれコンタクトして聞いてくださいね。

以下、

  • 自社でChromiumとNGSシークエンサーを揃えて、サービスを展開している会社
  • データ解析受託を中心にサービスを揃えている会社

の順で紹介します。
その中での並びは単純に50音順、です。

実験からシークエンスまで自社で受託している会社


次にあげる2社は、ChromiumもNGSシークエンサーも自社で揃えています。学会展示会などでブースを見かけることも多いのではないでしょうか。NGSは塩基単位でのコストは下がっているとはいえ、それでも1回のランニングコストは結構しますので、シークエンスも外注の選択肢になるでしょう。

日本ジーンウィズ株式会社

RNAシーケンシングのメニューの中にシングルセル発現解析の紹介があります。右側のリンクをクリックするとPDFのチラシがダウンロードできるようです。発現解析以外にも、シングルセルのアプリケーションは色々と揃えていくようです。

タカラバイオ株式会社

ハプロタイプフェージング解析は、ヒトゲノムの構造解析のひとつで、ChromiumのLinked Readを使って行なっています。ウェブサイト上では、シングルセルではなくLinked-Readの受託実験解析しか見つけられませんでした。



上記の2社はChromiumを持っていて、NGSも自社でシークエンスできる会社です。お客さんがChromiumシステムを持っている場合、シングルセル用のNGSライブラリまでを自分で作成し、そのあとのNGSシークエンスを受託会社に外注する、ということもあり得るでしょう。10xのライブラリは少し特殊なので、ジーンウィズさんやタカラバイオさんのように自社でChromiumを持っているところにお願いする方が安心でしょうね。


ちなみに、NGS一般で言うと、実験は海外に外注し解析だけ国内で行う会社はあります。実験と解析全て海外外注で国内では窓口だけを請け負う会社もあります。正しいデータがちゃんと取れればどこで読んでも同じだと思いますが、気にされる方は最初に聞いておいた方が良いでしょう。
シングルセル解析はまだあまりメジャーではないのか、またはサンプル輸送の面で制限があるのか、海外のシングルセル実験受託の広告は見たことがありません(私が見たことが無いだけかもしれませんが)。

では、10x Genomicsのデータ解析をサービスとして行なっている会社にはどこがあるでしょうか?

データ解析を中心にサービスを提供している会社


まず初めに、この種のサービスは価格が付けにくいという性格があります。私も実は前々職で同じようなことをしていましたが、データ解析というのは実に千差万別で、お客さんのニーズが同じだったことはありません。しかし価格が無いと売れないわけで、ワークフローを一応作って価格を付けて売ったあと、無料オプション解析ということもありました。あるいは色々なオプションを付けてパッケージにして販売したことも。

なので一見、価格が高いと思うサービスがあったとしても、そのサービスがどこまでカバーしているのか(再解析の有無や、結果打ち合わせの回数、トレーニングの有無など)を聞いてみた方が良いと思います。

では、まずは自社のウェブサイトにシングルセル解析の記載がある会社から。

アメリエフ株式会社

トップページにシングルセル解析が紹介されています

シングルセル解析の専用ページもありました。

アメリエフさんではシングルセル初心者の方でも解析のイロハを取得できるように、トレーニングメニューも充実しているとのこと。解析ツールの開発も行なっています。

株式会社ジエンブル

福岡の会社で、NGS解析に特化した会社です。実験のコンサルティングから相談に乗ってくれるそうです。サービスのページはこちら。2月末までの注文に限りシングルセルRNA-Seqの解析キャンペーンをやっているみたいです(PDFチラシはこちらから


次に紹介する会社は、ウェブサイトでは「10xのデータ解析をしています」とはっきり書かれていないけれど実際はNGSデータ解析サービスの中に含まれていて、実績もあるところ。
もしウェブサイトに書かれていたらすみません。私がみつけられなかっただけです。
教えて頂けたら訂正します。

アクシオヘリックス株式会社

NGS現場の会のメーリスでも良く登場しますね。PictBioというのは受託解析サービスのことだそうです。シングルセル発現解析はNGS解析の一部に組み込まれています


株式会社ダイナコム

ここはSNPAlyzeなどのソフトウェアの販売で知っている方もいると思いますが、バイオインフォマティクスのサービスも充実しています。ウェブサイトには載っていませんが、Cell Ranger(10xが提供しているシングルセル解析のツール)を流すだけの単純解析も可能、その後のシングルセル系のインフォ解析も充実しているそうです。


その他

解析環境を提供している会社

データ解析は高スペックのサーバーが必要です。NGSデータを扱うわけですからね。
これはクラスターでは無い場合の、Cell Rangerの最低必要スペックです。
詳しくはこちら

シングルセル発現解析では、1セルあたり2万5000本〜5万本のリードが必要十分とされています。仮に1サンプルで1万セルを解析するとして、サンプルあたり2億5000万本〜5億本のリードが必要。HiSeq2000でも数レーンは必要でしょう。
NovaSeq6000のS1フローセルを使えば4サンプル程度は流せる計算になるでしょうか。いずれにしても相当数のリードをカウント、マッピングしないといけません。

株式会社ジーンベイ

シングルセル解析ではありませんが、Linked-Readを使ったデノボアセンブリは実績があるそうです。
面白いところでは解析パイプライン環境をクラウドに構築し、お客さんはそこで解析できるようにするというサービスです。シーケンスデータ解析クラウド、そのままわかりやすい名前ですね。
これはあくまで計算環境をクラウドで提供するというビジネスなので、お客さんはある程度データの解釈ができることが前提、のように思います。シングルセル用の環境はまだ(2018年12月現在)準備されていませんが、需要があれば載せることも検討とのことです。

株式会社 ナベ インターナショナル

計算環境を自前で用意したいというお客さん向けです。NGS解析専用サーバを組み立てて販売するビジネスモデルです。こちら
Takeruという名前はご存知の方も多いのではないでしょうか? 学会展示会でよくサーバーを展示しているところを見かけます。シングルセル発現解析専用サーバーの販売実績もあるそうです。
結果の解釈はお客さんにお任せしています。コマンドラインをガンガン使える玄人向けサービスと言えるでしょう。



いかがだったでしょうか。上記にあげた会社はどこも、10xのデータ解析をビジネスとして行なったことのある会社です。
最初に書いた通り、10x Genomics社がオフィシャルにお勧めしているわけではありません。私が個人的に聞いて集めた情報になります。なのでもしかしたら「うちでも10xデータ解析やってますよ」という会社があるかもしれませんね。追加していく方針です。

あと、今は10xデータ解析は経験無いけれど、多分絶対できるはず!という会社もいくつかありますので、そこはキャッチしていきますね。


では、2019年がみなさんにとって更なる飛躍の年になりますように!

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