2021年6月20日日曜日

Visium 最近の論文 2021年6月まで

 

Visiumの論文といえば日本からはこちらですね。乳癌のサンプルで空間解析をしています。鈴木先生、永澤先生には昨年の10x Genomicsユーザーミーティングでお話し頂きました!

鈴木先生には 20年3月のVisium Dayでもデータを少しお話し頂き、参加者の皆さんから多くの質問を頂いたことを覚えています。

続いてはこちら

ヒト背外側前頭前野の6層の解析(翻訳あってるかな)をVisiumで行った論文。こちらも最近大きな反響を得た論文です。BioConductor上で動くツールを開発してデータを公開しています(ここ

お次はシングルセルとVisiumのデータを統合させるというバイオインフォ系の論文
計算式は私の理解の遥か上を行っているのですが、シングルセルのレベルでVisiumを行う現在可能な唯一の方法は、シングルセルRNA Seqと空間解析を別々に行ってコンピュテーショナルに統合することです。こちらの論文ではそれを行うツール-SPOTlightを紹介しています。
SPOTlightはここから利用可能だそうです。


さて、Visium、そして空間解析一般のトレンドを理解する私のオススメは、何と言ってもこちら、今年のNature Method Volume18,Issue 1です!
この特集号では空間解析を特集しています。これから空間解析を行いたい、という人には是非お勧めします。

さてこれまでヒト、マウスのVisiumばかりでしたが動物以外、植物の解析ももちろんあります。最近ではこちら
こちらもシングルセルと空間解析の統合解析を議論しています。

と、ここまで書いて、少しとりとめの無い記事になってしまったことを反省しています。もう少し今度はテーマごとに分けて紹介しますね。


2021年6月12日土曜日

Visium空間解析のすごさを一言でいうなら

 Visiumといえばここで何回も紹介していますが、スポットサイズの直径が55umの円が、約5,000個、一辺6.5mmの正方形に並んでいます。

隣り合うスポットの中心間の距離は100umなので、イメージとしてはこんな感じかな

細胞の大きさは様々。たいていの細胞はこの円の面積よりも小さいから、このスポットには複数の細胞が含まれる。だから今のVisiumはシングルセルの解像度では無い。とはいえ、このサイズのスポットが5,000個並び、それぞれで細胞s(複数形)の遺伝子発現解析ができるというのは画期的な技術である。

つまり、一言でいうと

組織上の何個かの細胞の全RNA−Seqを、最大5,000解析まとめて実験できる!

ひとつの組織切片で5,000のRNA-Seq実験を一度に行えるのはすごい。

RNA-Seqに加えて、そのうちCITE-Seqも行えるようになります。これはタンパク質の発現をオリゴつき抗体で測定する技術。
シングルセルだとTotalSeqという商品名がそれにあたります。これだと数十から数百のタンパク質発現もRNAと同時に検出できるようになる。

5,000のRNA-Seq実験をひとつの組織切片の上で同時に行えるのはVisiumだけ、かもしれません。
シーケンス後のデータ処理も無料のソフトウェアでコマンドラインを一発打つだけ。

そうです。さっきの丸にRNA-Seqデータをマッピングするのは簡単。
ビューワーで見るのも、簡単。
そこまでは、なんとか簡単

研究者の真の出番はそこからです。
データの解釈と、意味付けです
とはいってもまだ新しい技術なので、解析の参考になるはずの論文もそれほど多くないのが現実です。
次は、最近の論文を紹介します!




2021年6月7日月曜日

Visium 空間解析にFFPEが登場!

 前回から少し時間が経ってしまいましたね。まだまだ、東京は緊急事態宣言下で居酒屋は閉まったまま。すっかり健康的になってしまいました(これはいいことだけど)。これが6月20日まで続き、その後はワクチン接種、そしてオリンピックかあ。本当にやるのかなあ。

世の中不安なことが多い今日この頃ですが、さーて気持ちを切り替えて。


Visiumの空間解析にFFPE版が登場しました。FFPE−ホルマリン固定パラフィン包埋(さて、「包埋」とは何と読むでしょう? 答え:「ほうまい」僕は最初読めませんでした、、、)。これは生体組織の保存に良く使われている手法です。

ホルマリンの濃度(中性か酸性か)、作成にかける時間などの条件によってサンプルのクオリティは変わってくるそうです。サンプルに含まれるDNA・RNAの分子の分解も進んでしまうことがあります。また組織の構造がきちんと保存されるかどうか、これもFFPE作成条件によって大きく変わってくるそうです。

ゲノム診断に使う病理組織は手術検体から得るわけですが、こちらは日本病理学会が定めたゲノム診療用病理組織検体取扱い規程によってFFPEの作製方法などが定められています。

FFPEサンプルからRNA分子を測定して遺伝子発現量を測るには注意が必要です。そのままではRNAが分解されているからです。今までのVisium(新鮮凍結組織用)では、組織を透過処理し、mRNAのポリAをVisiumスライドガラス上のポリdT付きのキャプチャーオリゴで捉えていました。

ところがこの方法だと、分解されているmRNA はキャプチャーされない可能性がある。そしてNGSで読んでもマッピングされない可能性がある。

そこで、FFPE用のVisiumではポリAを捉えるのではなく、プローブキャプチャー法を用いました。具体的には、遺伝子の保存領域にプローブを2つ設計し、片方のプローブにはポリA配列がついている。この2つのプローブは隣り合うように設計されていて、ハイブリした後に2つは結合してひとつの長いプローブ配列になる。

その後Denatureして、透過処理をしてプローブ配列だけを組織からスライド上に落としてくる。プローブ配列についているポリA配列をスライド上のキャプチャーオリゴで捕捉する。という流れだけど文章で書いても伝わらないのはわかります。

そこで先月ウェビナーを行ったのでそのビデオをご覧ください。

このリンクから。最初に名前とメールアドレスなどの登録が少し必要です。

これは5月19日に行ったウェビナーの録画なのですが、最初の方はVisium一般の復習なので知っている人はスキップできるかな。プローブでのキャプチャー方法についてはウェビナービデオの18分後くらいから説明しています。

このウェビナーでは実験ワークフローの部分はさらっとしか話せませんでしたので、次はもっと詳しい話をします。次回のウェビナー、Visium空間的遺伝子発現 FFPEキットを始めよう!6月23日(水)午後12時から。抽選で5名のかたにVisium特製Tシャツをプレゼントします!


製品シートはまだ英語版しかないですがここにあります(鋭意翻訳中!)