2021年6月12日土曜日

Visium空間解析のすごさを一言でいうなら

 Visiumといえばここで何回も紹介していますが、スポットサイズの直径が55umの円が、約5,000個、一辺6.5mmの正方形に並んでいます。

隣り合うスポットの中心間の距離は100umなので、イメージとしてはこんな感じかな

細胞の大きさは様々。たいていの細胞はこの円の面積よりも小さいから、このスポットには複数の細胞が含まれる。だから今のVisiumはシングルセルの解像度では無い。とはいえ、このサイズのスポットが5,000個並び、それぞれで細胞s(複数形)の遺伝子発現解析ができるというのは画期的な技術である。

つまり、一言でいうと

組織上の何個かの細胞の全RNA−Seqを、最大5,000解析まとめて実験できる!

ひとつの組織切片で5,000のRNA-Seq実験を一度に行えるのはすごい。

RNA-Seqに加えて、そのうちCITE-Seqも行えるようになります。これはタンパク質の発現をオリゴつき抗体で測定する技術。
シングルセルだとTotalSeqという商品名がそれにあたります。これだと数十から数百のタンパク質発現もRNAと同時に検出できるようになる。

5,000のRNA-Seq実験をひとつの組織切片の上で同時に行えるのはVisiumだけ、かもしれません。
シーケンス後のデータ処理も無料のソフトウェアでコマンドラインを一発打つだけ。

そうです。さっきの丸にRNA-Seqデータをマッピングするのは簡単。
ビューワーで見るのも、簡単。
そこまでは、なんとか簡単

研究者の真の出番はそこからです。
データの解釈と、意味付けです
とはいってもまだ新しい技術なので、解析の参考になるはずの論文もそれほど多くないのが現実です。
次は、最近の論文を紹介します!




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