2021年6月7日月曜日

Visium 空間解析にFFPEが登場!

 前回から少し時間が経ってしまいましたね。まだまだ、東京は緊急事態宣言下で居酒屋は閉まったまま。すっかり健康的になってしまいました(これはいいことだけど)。これが6月20日まで続き、その後はワクチン接種、そしてオリンピックかあ。本当にやるのかなあ。

世の中不安なことが多い今日この頃ですが、さーて気持ちを切り替えて。


Visiumの空間解析にFFPE版が登場しました。FFPE−ホルマリン固定パラフィン包埋(さて、「包埋」とは何と読むでしょう? 答え:「ほうまい」僕は最初読めませんでした、、、)。これは生体組織の保存に良く使われている手法です。

ホルマリンの濃度(中性か酸性か)、作成にかける時間などの条件によってサンプルのクオリティは変わってくるそうです。サンプルに含まれるDNA・RNAの分子の分解も進んでしまうことがあります。また組織の構造がきちんと保存されるかどうか、これもFFPE作成条件によって大きく変わってくるそうです。

ゲノム診断に使う病理組織は手術検体から得るわけですが、こちらは日本病理学会が定めたゲノム診療用病理組織検体取扱い規程によってFFPEの作製方法などが定められています。

FFPEサンプルからRNA分子を測定して遺伝子発現量を測るには注意が必要です。そのままではRNAが分解されているからです。今までのVisium(新鮮凍結組織用)では、組織を透過処理し、mRNAのポリAをVisiumスライドガラス上のポリdT付きのキャプチャーオリゴで捉えていました。

ところがこの方法だと、分解されているmRNA はキャプチャーされない可能性がある。そしてNGSで読んでもマッピングされない可能性がある。

そこで、FFPE用のVisiumではポリAを捉えるのではなく、プローブキャプチャー法を用いました。具体的には、遺伝子の保存領域にプローブを2つ設計し、片方のプローブにはポリA配列がついている。この2つのプローブは隣り合うように設計されていて、ハイブリした後に2つは結合してひとつの長いプローブ配列になる。

その後Denatureして、透過処理をしてプローブ配列だけを組織からスライド上に落としてくる。プローブ配列についているポリA配列をスライド上のキャプチャーオリゴで捕捉する。という流れだけど文章で書いても伝わらないのはわかります。

そこで先月ウェビナーを行ったのでそのビデオをご覧ください。

このリンクから。最初に名前とメールアドレスなどの登録が少し必要です。

これは5月19日に行ったウェビナーの録画なのですが、最初の方はVisium一般の復習なので知っている人はスキップできるかな。プローブでのキャプチャー方法についてはウェビナービデオの18分後くらいから説明しています。

このウェビナーでは実験ワークフローの部分はさらっとしか話せませんでしたので、次はもっと詳しい話をします。次回のウェビナー、Visium空間的遺伝子発現 FFPEキットを始めよう!6月23日(水)午後12時から。抽選で5名のかたにVisium特製Tシャツをプレゼントします!


製品シートはまだ英語版しかないですがここにあります(鋭意翻訳中!)


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