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2022年3月23日水曜日

シングルセル2022年の新製品

 今日は東京も小雨、時々雪!? 昨日桜の開花宣言があったとは思えない寒さ・・・

先月Xperienceというウェブイベントがあって、今年発売される新製品の数々が発表されました。この様子は何と、日経バイオテクの記事にもなりまして


有料記事なので中身を書くことはできませんが、私たちの製品についてまとめてくださっていますので、著作権に触れない程度でご紹介しますね。

今年リリースするシングルセルの製品は以下の通り
  1. ATACの新しいバージョン、ATAC v2 
    • ピークコールの検出感度が今より高くなった
  2. シングルセル5’ CRISPR
    • シングルセル5’GEXのキットとともに使用できる
    • 今のガイドRNAをそのまま(3’CRISPRの場合はガイドRNAにキャプチャー配列をつけなければいけない)シングルセル実験に用いることができる
    • 細胞表面タンパク質発現やVDJ解析も同時に行うことができる
  3. 固定細胞からのシングルセル発現実験を可能にする、Fixed RNA
    • 細胞を回収した際に4%パラホルムアルデヒドで固定し、細胞をその時の状態で保存する
    • 固定した細胞を、Chromium Xにかける前に透過処理し、デザインされたプローブをハイブリすることによって遺伝子発現を検出する
    • 18,000のヒト遺伝子に対してプローブがデザインされ、発現の検出感度は高い
    • 細胞表面タンパク質発現も同時に解析できる
  4. シングル核実験を容易に行うために最適化された、核抽出キット
    • 凍結組織からおよそ1時間で綺麗な核を抽出するキット
    • 溶液で組織をバラバラにしスピンカラムで遠心、洗浄、など使いやすいキット
  5. Barcode Enabled Antigen Mapping (BEAM)
    • 抗体探索、T細胞スクリーンをシングルセルレベルで大規模に行う製品
    • 今年後半にリリース予定
1から4までは今年の中旬までにリリース予定。
中でも個人的に特に注目しているのは固定細胞からのシングルセル遺伝子発現、Fixed RNAです。やはり、細胞採取から時間が経つと遺伝子発現が変わってしまうケースがあります。そんな場合でもPFA固定してしまえば、実験までの間に発現が変わってしまうことを防ぐことができるかもしれません。
このFixed RNAキットは、Chromium XまたはiXに対応しています。

さてさて、これらの製品ですが、リリースまであともう少し待って下さい。
英語ウェビナーの後、ゴールデンウィークの後に日本語ウェビナー(Fixed RNAと核抽出キット)を行います。
そこで製品説明・ワークフロー・データなどをお見せしますね。

Visiumについても新製品ありますよ。それはまた次に

2019年8月6日火曜日

シングルセルATAC-Seqの論文

毎日暑い日が続いていますね。冷房無しでは生きていけない、暑さに弱い私です。
先日、近所で花火大会があったので見に行きました。打ち上げ花火の開いた形って、なんと無く、細胞に似てません? 核と細胞質、ほら

さてさて、シングルセルのATAC-Seqといえば、ゲノムのオープンクロマチン領域を狙ってライブラリを作りシークエンスして、遺伝子の制御領域をシングルセル単位で明らかにするという技術ですよね。

そのATAC-Seqを使ったユーザーからの論文がNatureにPublishされました!
Howard et al.のシングルセルATAC論文

この論文は、シングルセルATACのランドマーク的なものかもしれません。
シングルセルATACを10xのシステムで解析する方法とアドバンテージが、これを読めばだいたいわかる。私たちのプレゼンよりも、実際のユーザーのレポートの方が説得力ありますよね。
ひとつ、すごいな、というか私が気付いていなかっただけかもしれませんが、ATACのデータからCNV(コピー数変異)を推定することも可能かもしれないですね。
確かに、ATACはゲノムを見ているわけだし、遺伝子のコピー数はオープン領域のコピー数と関係ありますよね。

Howard et al., (2019) Massively parallel single-cell chromatin landscapes of human immune cell development and intratumoral T cell exhaustion. Nat. Biotech. 37, 925.

リンクはこちら

あともうひとつ、まだBioRxvですが、
こちらの論文も注目しています。ATACとCITE-Seqを組み合わせています。

シングルセルATACはまだ、発現に比べるとメジャーではありませんがそのぶん論文になりやすい!ということもあると思うので、ぜひATACってみませんか?


2018年8月29日水曜日

エピゲノムのベンチャーを買収してシングルセルATACへ

Epinomicsのウェブサイト

10xのウェブサイト
買収そのものの話は前から社内で共有されていたのですが、昨日、エピゲノム分野のスタートアップ会社・Epinomics社を買収したと言う公式発表がありました。

この会社、スタンフォード大学と共同でATAC-Seqという技術を発明・開発したのですが、ではそもそもATACって何? という方の為に簡単に説明しますね。

ATACとは(Assay for Transposase-Accessible Chromatin )の略。
人間の染色体に含まれるDNAは全部伸ばすと約2メートル、これが細胞の核の中に収納されているわけですが、これを可能にしているのがヒストンというタンパク質。
ヒストンの周りにDNAを巻きつけて凝縮させて、直径わずか20マイクロメートルの核の中に収納しているわけです。
この凝縮された状態をクロマチンと呼びます。
DNA、クロマチン、核
https://gendynamik.wordpress.com/226-2/

で、遺伝子が発現するためには一旦クロマチンをほどいてやる必要があり、これはヒストンのアセチル化を制御する酵素により制御されています。
発現される遺伝子は、クロマチン構造が解かれてオープンになります。
そのオープンになったところだけを狙ってDNA配列を読むことができれば、実際に発現されるべきところの遺伝子を網羅的に調べることが可能です。


Buenrostro JD, Giresi PG, Zaba LC, Chang HY, and Greenleaf WJ. (2013) "Transposition of native chromatin for fast and sensitive epigenomic profiling of open chromatin, DNA-binding proteins and nucleosome position." Nature Methods. より引用
Tn5というトランポゼースは、オープンクロマチンの部分を認識して、さらにシークエンスに必要なアダプター配列を挿入してくれます。
これをうまく組み合わせて、オープンになった遺伝子(とは限らない)を効率良くNGSで読むことができる、これがATAC-Seqです。
株式会社Rhelixaさんのサイトにもっと丁寧な説明がありましたので併せてどうぞ。
こち


さて、
そのATAC-Seqをシングルセルレベルで行うのが、この秋登場予定のシングルセルATACキット。

流路に流すのは細胞ではなくて核・Nuclei
ミトコンドリアのコンタミを最小限にすることができ、サンプルあたり500〜10,000 Nucleiを解析可能。
Nucleiの準備がもしかしたら肝になるでしょうね。どれだけキレイに取ってこれるか。

一度Nucleiの準備が整ったら、Chromiumでのラン、バーコード、PCR、サンプルクリーンアップ、QCなど含めてライブラリ調整にかかる時間はおよそ7時間。その後はHiSeqなどでシークエンス、という流れです。
ソフトウェアもリリースまでには完成する予定です。楽しみですね!