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2020年2月26日水曜日

AGBT ハイライト 10x Genomics

毎年この時期恒例のAGBTですが、私は行っていませんけれどもまるで行ったかのような報告をします(笑)。PacBioの時もそうでしたね

10x Genomics のプレゼンは月曜日の午後。多くの人が注目している中で行われました。
数々の新製品のアナウンスの他、自動ライブラリ作製装置「Chromium Connect」が出荷されたことも発表されました。


このページに詳しく書いています。
シングルセルの新製品とVisiumの新製品についての発表。
簡単にまとめると、まずシングルセルの新製品は、

  • Chromium Single CellのATACとGene Expressionを同じ細胞から同時に見れるようになる。これがやりたかった人は多いのではないでしょうか?
  • CellPlex:8チャネルチップを用いた時、1ランあたり最大16万細胞または96サンプル処理することができるようになる。実験のスケールに応じてサンプル数を調整することが可能です。CellPlex=細胞マルチプレックス
Visiumの新製品については
  • IHC(免疫組織化学)に対応:タンパク質と遺伝子発現を同じ組織上で同時に観察できるようになる
  • Feature Barcodeテクノロジーに対応:こちらは数千種類ものタンパク質の発現と遺伝子発現を同じ組織で同時に観察できるようになる
  • FFPE組織に対応:今は凍結切片のみ対応のVisium実験をFFPEサンプルからでもできるようになる
以上、リリース時期はまだ明らかにしていませんが、近い将来製品化されるものです。
いかがでしょうか。ワクワクしてきましたね。




2020年1月27日月曜日

「Visium Spatial : 空間的遺伝子発現の疑問にお答えします」のブログの紹介

今年は暖冬で雪が少ないそうですね。暖冬の年は花粉が飛ぶ時期も早まるらしく、そうなると夏はどうなるんだろう?猛暑?水不足?


さて、前もここに書いたSpatialです。製品名はVisium Spatial(ビジィウム・スペーシャルと発音します)Gene Expressionです。マーケティング的にはVisium 空間的遺伝子発現と訳しています。
その新しい製品ですが今年、あちこちで話題になることは間違いない!と思っています。2020年の流行語大賞バイオ編というのがあればVisiumがノミネートされるかな。

10xのブログにて、そのVisiumのFAQが出ています。ブログはこちら


せっかくなので一部日本語に訳してみました。

イントロダクション


10x Genomicsでは、複雑な組織生物学に潜む空間的なダイナミクス、正常組織の発生や疾患病理学に影響する微小環境の細胞の働きを捉えることを可能にしています。10x GenomicsのVisium空間的遺伝子発現ソリューションを使用すれば、ターゲット遺伝子だけでなく全体のmRNAをインタクトな組織切片から得て、遺伝子発現情報を高解像度なH&E染色画像上に重ね合わせることができます。

このソリューションは組織切片作成、H&E染色、顕微鏡画像検出といったこれまでの病理学的な方法に、次世代シーケンス技術を統合して行います。そのため、10x Genomicsでは、scRNA-seqまたは組織解析の専門家のどちらにも有用な、トレーニングウェビナーを準備していますました。

Getting Started with the Visium Spatial Gene Expression Solution. Watch on-demand


Exploring New Frontiers - Analyzing and Visualizing Visium Gene Expression Data. Watch on-demand

ちなみに製品に関するウェブサイトは日本語でも用意しているので、こちらのほうが初心者はわかりやすいかもしれません。

組織準備に関するよくある質問

Visium Spatial Gene Expressionスライドに、異なる組織サンプルを同時にのせることはできますか?
はい、1つのスライドには4つのキャプチャーエリアがあり、4種類の異なるサンプルはそれぞれのエリアに乗せて測定することができます。但し、最適な透過処理時間をTissue Optimization(TO)スライドを使い、組織ごとにあらかじめ測っておく必要があります。


フォルマリン固定(FFPE)の組織は使用できますか?
OCTの新鮮な冷凍組織のみ確実にテストされています。10x GenomicsのR&DではFFPEでの方法を積極的に研究しています。


IHC染色した組織は使えますか?
現在、Visium空間的遺伝子発現のワークフローはH&E染色に最適化されています。 IHC染色からの方法も10xでは研究中です。


組織切片の厚さの最大値はありますか?
最適な切片の厚さは組織に依存します。例えば脂肪が多い組織の場合はより厚い切片が必要です。クオリティを保ちつつ組織に合った最小の厚さで切ることが大切です。 社内では5〜35μmでテストしたことがありますが、ほとんどの場合10 µmで切ります。

組織ごとの推奨する切片の厚さについてはこちら
凍結切片の詳細はこちら


Visium Spatial Gene Expressionスライド

4つのキャプチャーエリアには、約5000個のバーコードスポットがあり、各スポットには数百万本ものバーコード付きオリゴ配列が並んでいます。組織内のmRNAは、酵素による透過処理行なった後に放出され、バーコードオリゴに結合し、遺伝子発現情報として測定できるようになります。


1つのスポットが複数の細胞タイプをキャプチャーすることはありますか?
はい。組織の種類や組織内の細胞の大小密度によります。スポットの直径は50μm、隣り合うスポットの中心間の距離は100μmです。スポットあたり平均して1〜10個の細胞が捉えられると想定してください。ですからこれらの細胞は同じ細胞タイプで無い可能性もあります。私たちは、数個の「ミニバルク」細胞の平均遺伝子発現値を見ることになります。10xではこのスポットサイズをより小さくできないか研究を続けています。


同じスライドまたは異なるスライドの切片測定値に差はありますか?
難しい質問です。各組織は独特で元々差があるからです。同じスライド内または異なるスライド間で遺伝子発現データを一定に保つ最も有用なポイントは、組織のクオリティコントロールです。これは熟練した組織と切片準備の技術を伴います。

テクニカルリプリケートを作るのも良いでしょう。R&Dではマウス脳の4つの連続する切片を同じスライドにのせた実験を、違うスライドを使って6週間続けました。遺伝子発現のテクニカルリプリケート間でのR相関係数は0.99で、これは相関が高いことを示します。一般的にテクニカルリプリケートは実験結果の信頼性を高めます。


使わない箇所がある場合スライドは再利用できますか?

いいえ。使わないキャプチャーエリアがあったとしても、スライド使用は一度限りです。これはワークフローの中に、染色、リンス、乾燥のステップが他の使わないエリアのオリゴ配列にも影響し結果として全体的な感度を落としてしまうからです。


イメージングテストスライドの目的は何ですか?
Visiumアクセサリーキットに含まれるイメージングテストスライドには、2つの目的があります。ひとつはユーザーのイメージングシステムがVisiumに適合しているかを調べる目的、もうひとつは後の実験のためにイメージングプログラムをセットアップすることです。 詳細はこちら《 Imaging Guidelines Technical Note


データ解析について

データ解析のためにプログラミングやバイオインフォマティクスの経験は必要ですか?
最低限のバイオインフォマティクススキルがあればSpace Rangerを動かすことができます。Space RangerはLinuxマシンの上で動くので、Linuxの基本操作コマンドを知っておくことは必要です。しかしSpace Rangerのほとんどのコマンドは自動で動きます。Space Rangerで必要な設定ファイルやアルゴリズムはソフトウェア内に同梱されているので、2つのインプットファイルさえ指定すれば解析は実行できます。

Loupe BrowserはGUIで動くためプログラミングのスキルは必要ありません。しかし解析を進めるうちにある箇所の遺伝子発現データを選択して再解析したい場合もあるでしょう。そういった場合はRや他のスクリプトを覚えて実行することが必要かもしれません。


SeuratのようなRで動く他の解析ツールはありますか?
はい、あります。SeuratのほかにはSpanielGiottoというツールがあります。Space Rangerから出力されるマトリクスファイルは、Cell Ranger のFeature Barcodeマトリクスと同じフォーマットです。これはそのままSeuratに読みこませることが可能です。

これ以外にも10x Genomicsでは複数遺伝子やUMI、サンプル、クラスター等を同時に可視化するためのR resourcesも作っています。興味のある方はぜひお試しください。

こちらのブログもVisiumの空間的遺伝子発現解析について紹介しています。ご参照ください。



最後になりましたが、今年の3月5日木曜日、Visiumセミナーを東京で行います! ユーザーの先生のご発表と10xの製品担当、AGBTでの最新情報などなど、この技術の最新に触れたい人には見逃せないイベント。場所等正式に決まりましたらまたいろんなチャンネルでお知らせ致しますのでお楽しみに!
 

2019年1月10日木曜日

年明けから景気の良い話 JPモルガンヘルスケア

昨年末から風邪が治りません。さすがに、そろそろコートを着た方が良いのかな?なんて思ったり。症状は軽いから働けるのですがなんかいつもの9割くらいのパワーしか出ない。そこでこんなのを飲んで早く回復しようと

匂いはザ、朝鮮人参。味はシロップみたいな、まさかの甘口! このギャップがすごい!
栄養ドリンクなんでしょうかねえ。台北のファミマで見つけました。早く元気100%になりますように。


さて、この時期話題になっているのが毎年恒例、JPモルガンヘルスケアコンファレンス。話題のバイオテック企業が一堂に揃って、景気の良い話をする場所です。この時期に合わせて新製品を打ち出してくる会社も多いので注目されるわけです。
以前書いた記事はこちら


で、10xも初日にCEOが登場してどかーんと景気いい話をしました。

3500万ドルのシリーズD追加資金調達成功

シリーズDって何?という方はこのページが詳しいです。簡単にいうとある程度順調に成長を続けていてさらに今後成長が見込まれるようなベンチャーの状態、フェーズ、です。A、B、Cとだんだん大きくなっていくんですね。夢があるなあ。

ちなみに資金を投資している会社の中には、大手アメリカの銀行の他にも、我らがソフトバンクもあります。
なぜそんなに投資してもらえるのかと言えば、会社に元気があるからでしょう。CEOのSerge Saxonov はプレゼンの中で、「売上は2017年の7100万ドルから2018年は1億4600万ドルへと2倍になった。装置の数も500台から1000台以上に増え、4000人以上のアクティブユーザーを持つまでになった」と語ったそうです。


シングルセルの市場はまだ始まったばかり。より一層市場規模は大きくなると投資家が判断しているからこそ、お金が集まるんでしょうね。
特に最近買収したSpatial Transcriptomicsは、組織切片のサンプルを位置情報をそのまま持ったまま(細胞をバラバラにしないので)発現解析することができる技術を持っています。
これは別の記事にしますが、組織切片のあるエリアの細胞たちの遺伝子発現が、バーコード配列によって後でどのエリア由来か判別できれば、元々どこの組織エリアで発現していたのか後でわかるのです。
この技術はとても注目されていて、10xが持っているシングルセル解析を組み合わせれば、今までシングルセルではわからなかった場所の情報を得ることもできるのです。
AIやロボットなど新しい分野に積極的に投資しているソフトバンクグループが10xに投資しているのもわかる気がします。シングルセル解析にAIが加わったらどうなるんだろう。

JPモルガンの記事は先のGenomeWebの他にも、
VentureBeatFierceBiotechなどに記載があります。
10xのプレスリリースはこちらです。

さらに、10xのCEOのインタビュービデオもここから視聴できますので興味のある方はぜひどうぞ。







2018年11月30日金曜日

広いところへ引っ越しました 

と言っても私が広いお家へ引っ越した訳ではありませんよ(広い家より天井が高い家が欲しい…)。10x Genomicsのオフィスが引っ越したニュースです。

ニュース本文はこちら
SanFrancisco Business Reviewのこの記事によれば、カリフォルニアのプレザントンにある本社の新しいオフィスは15万フィートスクエアもあるそうです。

ん?

日本人にはいまいちフィートってよくわからないですよね。だいたい1万4000平方メートル。または4235坪。結構広いですよねえ。
日本で一番広いカシマサッカースタジアムのピッチのサイズは
ゴールラインの長さ:78m
タッチラインの長さ:115m 
面積:8,970平方メートル 
だそうで(ここ)、新社屋の広さはサッカーピッチの 1.5倍以上あるんですね。

それはそうと、10xはカリフォルニアのベイエリアで最も成長している会社の1です。
2015年の収入は332万ドル、これが2017年には7,118万ドル。3年で20倍! 
この記事によればここ数ヶ月で新たに200人社員を増やしたという。この中には私も含まれるんだろうな。


さてさて、この間のウェビナーは3’遺伝子発現キットのバージョン3の話でした。バージョン3のキットでは、少ないリード数で検出できる遺伝子数が多くなったので、シークエンスにかかるコストを下げることができます。
バージョン3の遺伝子発現キットは、単に遺伝子発現のみを測るのではなく、他のFeature Barcodingキットと組み合わせることで、細胞表面タンパクの発現など、メッセンジャー以外の情報も同時に検出することが可能なんです!
これは近いうちに必ずこのブログで詳しく書きたい。ソフトウェアのデモも合わせて。

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